Profile - プロフィール

尾鷲市出身で、鍼灸の専門学校で学び、東京の整骨院に勤務した後、35歳の時にUターンして森林組合おわせに転職しました。転職前の整骨院では、プロスポーツトレーナーとして、女子プロゴルフツアーに帯同し、やりがいもありましたが、早朝からの業務や業務終わりの夜に、東京からツアー先(例えば、四国)に移動するなど、ハードワークの連続でした。今後、年齢を重ねたときに、体力的にやっていけるかどうかを悩んだ末に転職を決意し、いつかは地元に戻りたいとの思いや両親のことも頭にあり、地元の尾鷲で仕事を探すことにしました。
元々、アウトドアが好きで、人々の生活を支え、自然を相手に働ける1次産業に魅力を感じていたので、尾鷲地域の主要産業である漁業、林業が転職先の候補でした。林業(森林組合おわせ)を選んだのは、前職の退職時期に求人があった(漁業はタイミングが合わなかった)からで、ネット検索で得た「危険」、「きつい」、「給料が安い」という仕事内容の情報と「尾鷲ヒノキ」が有名という程度で、特に林業の詳しい知識も無い状態でした。
現在6年目で、現場技術者として、除伐・間伐などの森林整備、立木の伐採と搬出、人家裏などの危険木伐採などの業務に従事しています。働き始めた最初の1年は体力的に厳しく、作業中に「危険」も感じましたが、2年目くらいから、山で働く体力や基本的な技術が身に付き、不注意が「危険」を生むことも分かって、仕事に取組みやすくなりました。4年目からは、仕事を楽しく感じることができるようになりました。
私の所属する班は3名体制で、他の2人はいずれも20年以上のキャリアがあり、要点を教わりながら、伐倒作業などに取り組んでいますが、作業を先読みして、行動できるようになり、狭い面積ですが皆伐現場も任せてもらうようになりました。また、後輩職員に簡単なアドバイスをする機会も増え、徐々に成長している実感もあります。効率的に仕事ができるような準備作業に注意を払いながら、伐倒技術を向上させ、難易度の高い伐倒業務を任せてもらえるようになることが当面の目標です。
先進的な取組みや経営方法などの知識を得た一方で、林業の現状の厳しさも感じました。
みえ森林・林業アカデミーの受講を決めた理由について教えてください。
森林組合の現場技術者として働いてみて、現場業務は、かなり体力を使いますし、怪我をすることもあります。林業の現場で共通すると思いますが、現場技術者の怪我や体力の衰えなどによって、働く場が狭められるケースを見聞きします。経験やスキル、知識のある技術者の能力を活用し、長く働ける業務を組合として創出することや、また、雨の日の仕事の確保が、解決すべき課題だと感じていました。
森林組合に転職して、新規就業者を対象とするフォレストワーカー(FW)研修(国の「緑の雇用事業」による各府県で実施される研修制度)を受講した際、このアカデミーの話を聞き、日ごろから考えている新たな業務の創出などについての情報・ヒントを得られるのではと思いました。昨年度に3年間のFW研修を修了し、職場の許可も得られたので、マネージャー育成コースを受講することにしました。
受講した年度を振り返ってみていかがでしたか。
森林の公益的機能、SDGs、カーボンニュートラルなど、森林・林業に関わる様々な話題や最新情報、各地の先進的な取組みや経営方法などについて聞くことができ、知識の引き出しが確実に増えました。
一方で、様々な取組事例の失敗談や成功した過程での改善点などについては、あまり話題とならず少し残念に思いましたし、普通に林業を経営している成功例の話も少なく、やはり、林業の現状は厳しいのかなとも感じました。
また、先進的な取組、成功事例などの話では、その着眼点や事業スキーム、業務改善内容などについての話が中心でしたが、実際に働いている人は、業務変更などの過程で、どのように対応し、どのような役割を担っているかなど、今振り返ると現場技術者からの視点で疑問点も浮かんできています。機会があれば、情報を収集するなどして、実態を知りたいと思っています。

職場で発言権を得ることの大切さを学び、信頼を基盤とした提案力と組織課題の改善に取り組むようになりました。
受講後、どのようなことが身につきましたか。
講座では、古川大輔さん、楢崎達也さんの講義が印象に残っています。古川さんは、「マーケティング」の講座でしたが、その中で、会社への提案を受け入れてもらうには、まず、職場において「発言権獲得ゲームの勝者(発言権を得る者)」になる必要があるとの言葉がありました。これは、職場において信頼を得て、説得力がある説明ができ、一目置いてもらえるような存在になることと解釈でき、日頃の業務に対する向き合い方を考え直す機会になりました。
楢崎さんの「組織マネジメント・企画」の講座では、「組織課題とその改善」を話し合う会議運営を実習形式で行いました。各受講生の実際の課題を題材にした実習は、具体的で、大変わかりやすく、課題を職場全体で共有し、解決策を見出すための会議運営方法を学ぶことができ、職場でも活用したいと思いました。
身についたことが、現在の業務にどのように活かされていますか。
また、今後どのように活かしていきたいですか。
職場への提案が採用されるためには、職場から信頼を得ることが重要であることを認識するようになり、業務に対する姿勢、説得力のある発言ができるように、情報収集や機会を捉えた学びなど、自分を向上させることを心掛けるようになりました。
現在、当森林組合の最大の課題は、新規採用職員の獲得です。その課題解決方法の検討について、講座で実習した会議運営方法を活用してみました。即座に課題の解決にはつながらないと思いますが、活発な意見交換ができ、今後も様々な場面で実践していきたいと思っています。
その他、生産性、生産コストなどに関する講座もありました。受講後は業務の中で、大まかですが生産量や業務効率などを考えながら動くようになれたと思います。
林業に興味を持ってくれる人を、少しでも増やしたい。
将来の夢・目標について教えてください。
林業に興味を持ってもらえる人を増やしたいと思います。森林の炭素吸収や種の多様性保全などの公益的機能に関しては関心が高いと思いますが、産業としての林業に興味を持っている人は、農業、漁業に比べ少ないように感じますので、まずは、地元の人などに、林業を知ってもらえる活動ができればと思います。
最近の尾鷲の若者は、外へ出て、就職する人が多くなっています。地元の子どもたちに林業をよく知ってもらい、林業ってかっこいいなと思って、職業として選んでもらえるようにできればと思います。
今後受講する方にメッセージをお願いします。
現場の方が林業の理論を学ぶのに、良い勉強になると思います。また、職場の事情が許せば、現場系と事務系の方が同時に受講することで、職場の改善点などについて共通の認識が持て、情報共有も図れるように思います。受講を検討してみたら如何でしょうか。

