2024年度 受講生募集要項(PDF)

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受講者インタビュー

ディレクター育成コース令和2年度~令和3年度受講

多角的な視点を培えたことで、なんとなく見ていた
身近な森林の見方が変わりました。

三重県 飯島一郎・良江様ご夫婦 造園業

Profile - プロフィール

現在の仕事は業種で言うと、造園業になります。
2人で「剪定屋 空」を立ち上げて、9年目になりました。
仕事の内容は、庭園づくりや管理に関わる庭木の剪定・伐採業務に加え、木工事業部を新設したほか、森づくりのための植樹やビオトープづくりのための里山整備にも携わっています。業務の中心は、造園業ですが、業務で発生した端材などを活用した木工品などの情報発信を行っていたところ、木製コースターなどの注文もいただくようになっています。

カリキュラムが包括的に森林や林業のことを学べるように構成され、
興味を持って受講することができました。

みえ森林・林業アカデミーの受講を決めた理由について教えてください。

造園には、遠くの山をその庭の一部であるかのように利用する借景という技法があり、元々、山や森林と関りが深い業種ですが、最近は、地域の山に生育する樹木を庭に植栽することがトレンドとなっていて、単に庭木を剪定するだけではなく、山や森との関りがさらに深くなってきたことを感じていました。また、庭の手入れに伺った施主様から、裏山の整備について相談を受けることも何度かありましたが、どのような山がよい状態なのかといった山や森林、さらには、林業に関する基本的な知識がなく、改めて学んでみたいと思ったことが受講のきっかけです。

受講した年度を振り返ってみていかがでしたか。

カリキュラムが包括的に森林や林業のことを学べるように構成され、興味を持って受講することができました。林業を専門としている方々には、当たり前と言われるかもしれませんが、天然林と人工林の区分、管理されている人工林と放置されている人工林の違い、燃料革命によって薪炭林がスギ、ヒノキの人工林に替わっていった拡大造林期の歴史、その結果、現在人工林が成熟期を迎えていることなど、様々なことを知ることができました。

また、森林の多面的機能を発揮させるための森林整備の実施や森林環境教育活動では、公的関与のほか、NPO団体などが、縁の下の力持ちとしてその活動を支えている実態を知りました。現在、NPOの方々と一緒に活動するときもありますが、その活動には限界があり、これらの活動の課題に気づくことができました。森林や林業には、様々な課題があり、すぐには解決が難しいとも感じましたが、自分たちが取り組めることから始めようとの思いも持ちました。

森林の将来の姿を想像し、人がどのように活用するしないなど、
多角的な視点から捉え、考えるようになりました。

受講後、どのようなことが身につきましたか。

アカデミー受講の動機が、自分たちの携わる造園業に活かすとともに、施主様から山の相談を受けたときに対応できる知識を得るためでしたが、森林・林業に関する様々なことを学び、同業の造園業や施主の方々の質問に対して、解説を交えて、話すことができるようになり、アカデミーで得た知識は大変役立っています。最近では、森林・林業に関するご相談などは、まず、私たちのところへお問い合わせが来ることが増え、皆さんの役に立っている実感もあり、嬉しく思っています。

また、受講前によく耳にしていた「荒廃した森林」という言葉についても、「荒廃した森林」=「木が密生し、見通しも悪く、林床に枝葉が散乱し、汚く見える」といった、見た目だけの漠然とした感覚しか持っていませんでした。これが、受講後には、密生した森林に対して、木や下草の生育状況、樹種構成などから、その森林の将来の姿を想像し、人がどのように活用するか又は活用しないかなど、多角的な視点から捉え、「荒廃した森林」なのかどうかを考えるようになりました。これは、一つの例ですが、アカデミーを受講したことで、今までなんとなく見ていた身近な森林の見方が変わったと思います。

身についたことが、現在の業務にどのように活かされていますか。
また、今後どのように活かしていきたいですか。

私たちが接する造園業や施主の方々は、森林・林業に関する知識をあまりお持ちでない場合が多く、その方々に森林や林業、さらには自然に興味を持ってもらうよう学んだことを活かし、お伝えするようにしています。

施主様に対する庭造り提案についても、そのバリエーションが増えました。先日、裏山と地続きの庭の管理を任された時に、施主様からは裏山を皆伐するよう依頼されましたが、皆伐時の変化として、雑草の繁茂やトゲのある先駆樹の侵入などのデメリット、珍しい樹木が生育していることなどを説明し、裏山の整備を含む庭の管理を提案することができ、施主様から任せていただきました。

また、アカデミーのプロジェクトでは、「食べれる森」の造成とともに、端材を使った木製品づくりに取り組み、これを継続していますが、樹種別の硬さなどの材質の特性を学ぶこともでき、製品づくりや依頼者に対する使用樹種の提案の際にも活かしています。

みえ森林・林業アカデミーに対する意見、要望があればお願いします。

私たちがアカデミーで取り組んだプロジェクトを受講中の方々に説明する機会がありましたが、このような修了者も含めた交流の場があれば良いと思います。アカデミー修了した方々がどのようなプロジェクトに取組んで、現在の進捗状況を聞くことは、受講生にとって非常に参考になると思いますし、新たな繋がりもできると思います。また、私たちと同じようなプロジェクトに取り組む受講生の方にはアドバイスもできると思います。

講座に関して言うと、選択講座のバリエーションを増やしてもらえればと思います。私たちの経験から、様々なプロジェクトに対して、マーケティング、商品PR方法などの講座がありましたが、更に進んで、プロジェクト内容に合わせた、より実践的な講座などを設けてもらえれば、プロジェクトの進度も上がるように思いました。

プロジェクトでは、「食べれる森」の造成と木製品の作成を
目的として、そのビジネスプランを作成しました。

将来の夢・目標について教えてください。

私たちは、森林・林業と関係ない、一般の方と接することが多いので、そのような方たちに、山や森林、林業、さらには自然の魅力を伝え、感心を持って、関わる人が増えるような活動を行っていきたいです。造園業においても、施主の方が自分の庭に関心を持ち、自らが除草などを行って庭に触れてもらわないと、いくら私たちが管理を行ってもよい庭にはなりません。山や森林についても、同じではないかと思います。

現在も、ブログやインスタグラムで、山や森林・林業に関する発信を行っていますが、興味を持ち、学びたいと考えている人が多くいることに驚きました。私たちは、造園業で、森林・林業界の人間ではないですが、少し違った角度から、このような人たちを応援できるのではと思っています。

今後受講する方にメッセージをお願いします。

受講を考えている方には、アカデミーで学んだことは、現在の業務に役立っていますし、元々興味のあった森林や林業を深く知ることができましたので、興味のある方にはお勧めします。

今後、プロジェクトに取り組む受講生の方には、苦しくても最後まで取り組んでみることをお勧めします。私たちのプロジェクトを振り返ると、働きながらの資料作りが大変で、中間段階で迷走し、このままで形になるのか不安でした。しかし、講師からアドバイスを受けながら迷走した時間も、考えを深める良い時間であったと感じています。受講を続けることで、受講生相互の交流も深まり、結果的に、あきらめないでやってよかったと思います。講師の顔ぶれが豪華で、壮大な気持ちになってしまうかもしれませんが、自分のできることを整理し、無理せず頑張ってください。

現在のプロジェクトの進捗状況を教えてください。

プロジェクトでは、「食べれる森」の造成と木製品の作成を目的として、そのビジネスプランを作成しました。
このうち、「食べれる森」については、所有する土地が無いので、家の周辺に試験植栽を行い、成長経過を観察しています。今後、試験植栽の様子を観察しながら、ノウハウを得て、企業の森などへの植栽提案を行っていきたいと思います。

木製品の作成については、木工施設を整備し、丸太輪切りコースターなどの製品をPRしてきましたが、最近注文も入るようになり、今後も続けていきたいと思っています。

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