2024年度 受講生募集要項(PDF)

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三重県林業研究所 アカデミー運営課
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受講者インタビュー

ディレクター育成コース令和2年度~令和3年度受講

森づくりや森林療法について学んだ経験は、
今の仕事や制作活動の核となっています。

三重県 加藤晃代様 木工作家/木育施設勤務

Profile - プロフィール

多摩美術大学卒業後、岐阜県高山市の飛騨産業株式会社に就職。家具製造に関わるうちに国産材に興味を持つようになり、1年間木工の訓練校に通ったのち飛騨市で地域産材活用に取り組む株式会社飛騨の森でクマは踊るに入社。
2020年に夫の故郷である三重県に移住。同年にアカデミーを受講しました。

アカデミー修了後、2022年からは三重県菰野町のNPO法人ECCOMに入職。現在は三重県民の森 みえ森林教育ステーション(木育施設)に勤務しながら、木工作家としても活動しています。

妊娠・出産・育児をしながらの受講でしたが、
皆さまのサポートがあり続けられました。

みえ森林・林業アカデミーの受講を決めた理由について教えてください。

前職で地域材の活用に関わるうち、木が育つところから製品として使われるところまで木の流通に関わる多くの人と出会い、岐阜県の森林や林業、地域の様々な樹種やその活用法など色々なことを教えていただきました。今後も木に関わる仕事をしたいと考えていたため、これから自分が暮らす三重県の森林や林業についても知りたいと思っていたところ、出会った方からアカデミーを勧めていただき、受講を決めました。

受講した年度を振り返ってみていかがでしたか。

アカデミー1年目は2020年4月から開始で、ちょうどコロナが流行し始めた時期でした。また、個人的な話にはなりますが、私はアカデミーを受講している間に妊娠・出産を経験することになり、2年目からは育児をしながらの受講となりました。そのため、この2年間のことは一層印象深いです。

アカデミーには妊娠がわかった後も受け入れていただき、出産前後もオンラインで受講継続させていただけたので、とてもありがたかったです。同期の受講者の皆さまにも、アカデミー事務局にも講師の皆さまにもご配慮をいただきました。

出産後の育児は想像以上に大変で、皆さまのご理解とサポートがなかったら2年間の受講を続けられなかったと思います。オンラインだったため直接お会いすることはほとんどできませんでしたが、コロナ禍の中、同期や講師の方々含めさまざまな方と出会い学ぶことができたのは貴重な時間で、アカデミーに参加できて良かったと心から思っています。

受講後、どのようなことが身につきましたか。

私は現在の職場で勤務する傍ら、アカデミーのプロジェクトで取り組んだ、地域材を使った子どものための玩具や木製品の制作などの活動も続けています。アカデミーの受講は、この活動を継続して行う上でも大変役に立っています。アカデミーを受講しなければ、三重県の林業について深く知ることは難しく、そして制作を始めるきっかけとなった林業家の友人とも出会うことができずに、もしかしたら木製品の制作そのものをしたいと思わなかったかもしれません。

素晴らしい講師の皆さまにお会いでき、教えていただいたことは全て貴重な経験になりました。その中でも今の仕事に関しては、東京農業大学の上原教授の森づくりや森林療法に関する講義に特に影響を受けていると思います。

受講していなければ、今のような森林教育に関わる仕事を
していなかったかもしれません。

身についたことが、現在の業務にどのように活かされていますか。
また、今後どのように活かしていきたいですか。

上原教授から、「10歳までに森林で癒された経験がある人は、その後高齢になってからも森林療法で癒される効果が高い」と教えていただきました。「森の中で楽しい思い出を作ることは、子どもに将来ずっと使えるプレゼントをあげられるようなもの。」その言葉は現職のやりがいにもつながっていて、振り返ってみると自分がアカデミーのプロジェクトで取り組もうとしていた子ども向け木製玩具づくりの核にもなっていると思います。アカデミーを受講していなかったら、今のような森林教育に関わる仕事をしていなかったかもしれません。

アカデミーでの経験は、イベントの企画や展示物作成の際に特に役立っています。三重県民の森は鈴鹿山脈の麓にあり、約45haと広い面積をもつ公園です。みえ森林教育ステーションは公園内に新しく(2021年〜)できた木育施設で、乳幼児のお子様連れのお客様にも安心して森へ遊びに来ていただくことを目的のひとつとしています。森林や自然に、偏見なく、楽しく触れる経験をしていただくことは将来の森づくりにとって大切なことです。森の中で良い時間を過ごしていただけるような企画やご案内をなるべく心がけています。そして、植物や生き物、木のおもちゃに触れてもらうことの先に、林業の大切さや、日々変化する自然に対して愛しさを感じていただけたら良いなと思っています。

みえ森林・林業アカデミーに対する意見、要望があればお願いします。

ディレクター育成コース1年目は、コロナ感染症の影響でWEBを活用した講義が多く、講義中心で進みました。コロナ禍のため仕方なかったかもしれませんが、1年目にもう少し、講師の方や同期の受講生とコミュニケーションを取れる時間を作ってもらえると尚よかったかなと思います。
逆に2年目は講義がほとんどなくプロジェクトのブラッシュアップをする時間がほとんどでしたので、講義やディスカッションの時間を取り入れてもらえるとリフレッシュでき、よりプロジェクトも進展するように思いました。

将来の夢・目標について教えてください。

子育て中のため、現時点での目標は子どもたちと一緒に地域の自然の良いところをたくさん見つけることと、地域材を使った今の制作活動をできるだけ長く続けることです。

もともとは木製品が好きで木について学び始めましたが、今は木が木材になる途中でなくなってしまいがちな枝や葉、実や根っこなど、生きている状態の木もとても好きです。ちょうど仕事を通じて自然観察をする機会が増え、虫や動植物や菌など木が育つために必要な周りの環境のことについても学んでいる段階のため、子どもたちと一緒に、自然の面白さや良いところをたくさん見つけていけたら良いなと思っています。
また、私は木工は木が木材になった後も大切にするための手段のひとつでもあると思っています。地域材を木製品にし、その木が育った周辺地域のことを発信していくことは森づくりにとって大切な活動のひとつだと考えているため、子育ての時期によっては難しい時もあると思いますが、できるだけ長くこの活動を続けていきたいと考えています。

今後受講する方にメッセージをお願いします。

受講を迷われてる方は、一度アカデミーを訪問してみてはいかがでしょうか。受講する方に限らず、アカデミーの建物は最近新しく完成したばかりで、三重県林業研究所は三重県の森林について知るのにも良い環境だと思います。

最後に、現在のプロジェクトの進歩状況を教えてください。

木育施設で働き始め、任せていただく仕事も増えたことから当初の計画に比べるとだいぶスローペースですが、今も地道に活動を継続しています。

進捗としては、令和4年は三重県立美術館で開催された『三重の木の椅子展』という三重県の木工作家が集まる展覧会に初めて出展させていただきました。令和5年は身近な自然観察を楽しんでもらいたいと作った積み木で、みえの木製品コンテストおもちゃ部門の優秀賞をいただきました。(どちらも出展には、アカデミー同期 崇剣さんの三重県熊野市の木を使わせていただきました)最近は三重県内のお店に置いてもらうなど、少しずつ販売も始めています。今後もマイペースではありますが、子育て、仕事、作品づくりのバランスをとりながら活動を続けていきたいと思います。

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